『文学の宿』新聞投稿していただきました

ご宿泊いただきましたお客様に『日本海新聞の投稿を見て来たのよ~!!どんな旅館か気になってね!!』

とお話をしていただきました。

私 何のことか全く分からないのでそのお話を伺うと、当館にご宿泊いただきました方の随筆を新聞に投稿していただき興味がわき訪れていただいたとの事でした。

お教えいただきましたそのお客様にまず『あなたが女将さん? 新聞の投稿に金髪でカラーコンタクトの女将さんって! 』確かに私 髪は、黒ではないですが、目は無色透明コンタクトでございます。

女将の髪こんな色です!!

実際の新聞投稿には ピアスもしているって書いて頂いておりましたが ピアスは和服の際はいたしません・・・ しかし文学は、若干の脚色があった方が読む人の興味をかきたてますし全然ありだと思います。投稿いただきました記事を拝読させていただきますと、とても素敵な文章で当事者ながら、その書かれている旅館に行きたくなってしまいますね。

文学といえば当館の先代は、文学者で原稿用紙がお部屋の机の上にいつも置いてありました。

旅館に嫁に入った私の先代からの文学的表現は、『背丈の違う大女将の着物を肩できる嫁』と表現していただきました・・・ 大女将より10センチも背の低い私が 大女将から譲ってもらった着物をピッタリ着ることができるのは、肩幅ががっちりて胸板も厚いといった所でしょうか。

また、先日接客をさせていただきましたお客様 文学がお好きで、ご自分でも本を出版されておられるお医者様でした。

お話の中で、一番お好きな作家さんは?とお尋ねすると 『山本周五郎』とのお答えが

私、1度も 山本周五郎作品に触れたことがありませんでしたが、是非読んでみるようにとおすすめ頂きました。どういうところがお好きかと尋ねますと、決してサクセスストーリーではない人間の醜い部分であったり、不幸と思える人生を描いているところだとおっしゃってました。

そのお客様 ご夫婦 息子さんともお医者さんでいらっしゃったり

70歳を超えた今でもお仕事をなさって趣味は山登りで奥さんを愛してらっしゃって・・・どうみてもサクセスストーリーですね!!  ご自分にはない部分を小説にみる面白さがあるのでしょうか。

そして数十年前に先代のお友達でもある直木賞作家の阿部牧郎さんの当館のお料理を表現する文章

 秋の味覚散歩

私の常宿       阿部牧郎

秋には海が深くみえる。皆生の秋は急速に人を成熟させずにはいられない。

木造和風の海潮園には、もう一つ、豊饒の秋がある。

座敷へ入ると、私たちは香ばしい、かすかな煙に顔を包まれることになる。あわび、車海老、合鴨、松茸などが火鉢の炭火で焼かれている。まわりを海の幸、山の幸の皿が取囲む、魚介類、山菜類、どれを食べても私には、秋が食物の稔りのときであることを、あらためて思い知らされる。

文学という芸術は、入館料を払ってその空間に足を運べば味わえるものとは違い

時間が必要だったり 理解力が必要だったりします。

そこが私にはなかなか近寄れない憧れの芸術なのです。

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